認知症、または病気などで思うように動けなくなったら、介護認定調査というものを受けるのが一般的です。
介護認定調査とは、高齢者や障がい者など介護を必要とする人が必要なサービス・支援をうけられるかどうかを判断するための調査です。(要支援1~2、要介護1~5の全7段階)
初めて介護認定調査を受けるご家族は「どんなこと聞かれるの?」と気になりますよね。
我が家の81歳の母は病気で一度『要介護5』と診断され、退院して1年後に再度調査を受けて『要介護1』と判断されました。
私が実際に介護認定調査員から聞かれたことを元に、一般的に介護認定調査で聞かれる可能性のある質問の例をまとめてみました!
介護認定調査で何を聞かれる?一般的な質問の例
介護認定調査を受けるには、入院中の病院または自宅に自治体から委託されている介護認定調査員という人が訪問して本人と家族へ質問していきます。
そこでよく聞かれる質問の内容をまとめました!
①身体的状態について
・日常生活動作(食事・入浴・更衣・トイレ・移動など)の自立度
・身体的障害や病気に関する状況(疾患名・症状・治療歴など)
・睡眠状況、疲労感の有無など
まず必ず聞かれるのが、
「食事・お風呂・着替え・トイレ・立ち上がることは一人でできるか?手助けが必要か?」ということです。
①準備から全て一人でできる
②準備と移動は手助けが必要だけど用を済ます事自体は一人でできる
③すべての動作において手助けが必要
などにより、要介護度がかなり変わってきます。
そこに、病歴や症状などの情報が加わると更に明確に要介護度が決まっていきます。
「いつもはできないのに、介護調査員が来るとなると急に元気に掃除を始めたり、立ち上がっておもてなしまでしてしまった・・・!」
というのはよく聞く話ですよね(笑)
できれば前々から本人には伝えず、部屋も片付けずいつも通りにして調査員に入ってもらい、普段通りのナチュラルな姿を見てもらえるようにすることがコツです。
病気による症状(例:低血糖症・貧血・めまいなど)や、服用している薬による副作用などが日頃からあれば、それもしっかり家族から介護認定調査員に伝えておきましょう。
②精神的状態について
・認知機能(記憶・判断力・理解力など)の状態
・抗うつ症状、不安症状などの精神的状態
・介護に関するストレスや負担感について
精神的状況、特に高齢者の場合は「認知症の有無」というのが大きく審査に関わってくるので、色々と知能レベルを調べるようなクイズを出されます。
一般的には、医療機関で認知症の診断に広く用いられている『長谷川式認知症スケール』というチェックシートの質問をされることがほとんどです!
母は、認知症と診断された医療機関・介護認定調査員の両方から長谷川式認知症スケールに沿って質問をされました!
例えば次のような質問をされます。
●今日は何月何日何曜日ですか。
●何歳ですか。(前後2歳までは正解)
●ここはどこですか。(わからなければヒントあり)
●数を3つ言うので、反対から言ってみてください。
●知っている野菜の名前をできるだけたくさん言ってください。(5個までは0点です)
●100から3引いたらいくつになりますか。(答えられたら)その数から3引いたらいくつになりますか。
このような質問が10個ぐらいあります。
質問に答えていくと、最終的に認知症の疑いがあるかどうかが判断できるようになっています。
日常の動作に少々の手助けが必要だとしても、認知症がなければ要介護とは判断されないことがほとんどです。(要支援1か2になる)
逆に言えば、認知症があればまず要介護で間違いありません。
また、うつ病や精神的な病で定期的に通院しているのであれば、それも要支援・要介護認定してもらうための大きな判断材料になるでしょう。
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③住まいの環境面について
・居住環境(一人暮らし・共同生活・介護施設など)の状況
・住環境のバリアフリー性、安全性など
当事者の住まいの環境というのは大きな判断材料になります。
例えば手すりがない、段差が多い、廊下が狭い、などの昔ながらの住居におひとりで住まわれていたとしたら介護する人もされる人も大変です。
その場合、要介護認定が下りた後にケアマネージャーさんなどを紹介され、住環境の改善などを提案されるかもしれません。
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④社会的支援について
・家族や友人、地域ボランティアなど、周囲の人々の支援状況
・社会福祉サービスや医療機関の利用状況
同居している家族はいるか?
近所に家族、または親しいお友達はいるか?
町内会、地域ボランティアなどには参加しているか?
周囲の人々はどのぐらい支援してくれそうか?
など、当人が孤立していないかどうか、支援してくれる人がどれぐらいいるのかを聞かれます。
定期的な通院はもちろんのこと、かかりつけ医や行きつけのお店などがあればそのような情報も必ず調査員に伝えましょう。
⑤その他
・身体機能測定などの評価テストの実施
・本人や家族の意見や希望などのヒアリング
身体機能測定といっても、スポーツテストのような激しいものではありません。
●布団からの起き上がりは一人でできるかどうか
●手足のぐらつきはあるか
●車いす、杖、歩行補助機は必要か
●ふらつき、動悸・息切れはあるかどうか
などを調べるために、膝をハンマーで軽くたたいたり、両手を上下させたり、椅子に座った状態で足を上げ下げさせてみたりします。
母は少しでも元気に見せたかったようで、無理して布団の上で実際に起き上がるところをデモンストレーションしてしまいました(笑)
特に認知症のある高齢者ですと「自分は元気そのものだ、病気などない」と思い込んでいたり、調査員がきたときだけ急に元気にふるまう人はとても多いです。
気になることがあれば、家族からも抜かりなく介護認定調査員に伝えておきましょう!
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